このページは,「JKYBライフスキル教育研究会健康教育ワークショップ報告書」を参考に作成しています。

 現在,少子化や地域の連帯感の希薄さ,遊びの変化などが影響して,人間関係が希薄になり,お互いを支え合い・認め合うことができない子が多くなっているように感じます。学校でも,友だちとうまく関われず,トラブルを起こす場面を見かけることも多いのではないでしょうか。。
 神戸大学大学院の川畑徹朗教授は,子どもたちの様々な問題行動の背景には,共通して「自尊感情の低さ」があり,次のような特徴をもつ子どもたちが様々なトラブルを起こす傾向があると述べています。

自分の力に自身がない
友だちの中でいばる
トラブルを解決できない
すぐに怒りだす
友だちと仲良くできない
正しい知識が足らない
 
 このような子どもたちに「自信をもちなさい!」「仲良くしなさい!」「頑張りなさい!」といくら言っても,子どもたちが変わらないことはみなさんも実感なさっていると思います。
 自尊感情は「自分を大切に思う心」です。
    
自分のことが好き!  自分にも何かできそうだ!
 と,子どもたちが思えるようにするための具体的な手立ての一つが「ライフスキル教育」です。
 「ライフスキル」は,一人ひとりの子どもたちが自分らしくより良く生きるための「心の能力」で,誰もが学習し,経験し,練習することで,自分の力にでき,どんな問題にも役立つ基礎的な力と言えます。
 友だちと関わり合い,話し合い,体験する活動を重ねることで,一人ひとりが自分らしさや友だちらしさを認め合えるようになります。そして,「自分らしくていいんだ」「自分にはやれる能力がある」「自分は一人じゃなくてみんなと関わって生きているんだ」ということを実感し,自分を大切な存在だと思えるようになり,友だちや周囲の人を尊重できるようになっていきます。
 JKYBライフスキル教育研究会では,「セルフエスティーム(健全な自尊心)形成スキル」を中心として,「意志決定スキル」「目標設定スキル」「ストレス対処スキル」「対人関係スキル」の5つのライフスキルを身につけるためのプログラムを開発して,様々な学習を通して一人ひとりの子どもたちの自己肯定感を高めるための活動を続けています。

ライフスキルが身につくと・・・
 
5つのライフスキルのうち,セルフエスティームを形成するスキルは子どもたちが自分らしくより良く生きていくためにとても重要なスキルです。
 セルフエスティームの高い子は,失敗を恐れずに新しいことにチャレンジしようとします。たとえ失敗があったとしてもその中から何かを学び,それを次のチャレンジに生かそうとします。反対にセルフエスティームが低い子は,人からどう見られるかをいつも気にして失敗したら笑われるのではないかという恐れが先に立って,自分ができそうなことしかやろうとしません。
 5つのライフスキルを身につけることで,子どもたちがどう変わるのか,子どもたちの日常生活に当てはめてみました。
      

     ☆☆☆ 5つのライフスキルの関係 ☆☆☆
 5つのライフスキルの関係を図に示しました。子どもたちが自分らしくより良く生きていくための基盤となる「セルフエスティーム」が高くなると,他のライフスキルも身について,様々な問題に出会っても解決できるようになります。また,毎日の生活の中で具体的な問題を解決する経験をたくさんすることで,「セルフエスティーム」が高まっていきます。
                  
セルフエスティーム
形成スキル
 人が自分自身をどうみているか,自分に対するイメージがセルフエスティームです。
 セルフエスティームは自分らしく,よりよく生きていくための基盤となります。
意志決定スキル  問題状況において,いくつかの選択肢の中から最善と思われるものを選択する能力です。
目標設定スキル  現実的で健全な目標を設定し,計画を立て,やり遂げる能力です。
ストレス対処スキル  ストレスの原因と影響を理解し,ストレスの原因を少なくしたり,避けられないストレスの影響を小さくしたりする能力です。
対人関係スキル  自分の気持ちや考えを上手に伝え,また相手の気持ちや考えを理解する能力です。




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